意識の遠くの方からぴりりという電子音が聞こえてきて段々大きくなり、その音の正体が分かる頃、ぼくはようやくiPhoneのアラームを止める。起き抜けのぼんやりとした頭でツイッターの画面をスクロールし、昨日の夜から朝までに溜まったツイートをチェックす…

2017-08-09

雨に降られたが、傘を持っていないので、濡れながら歩く。最近は天気予報が当たらず、傘と雨が入れ違いになる。 傘を差すという行為は、本質的には、何を守っていることになるのだろうか。 尊厳、と浮かんで、すぐに取り消した。

2017-07-27

1ヶ月ぶりに家庭教師のバイトがあった。 生徒は相変わらずスマホのパズルゲームに夢中で、テストの復習をしようというぼくの提案に耳を貸そうともしなかった。けれども、高校に入ってから、その生徒は授業と部活に忙しくなり、その合間を縫って塾にも通うよ…

入信できなくて申し訳ありません

何かのために、ストイックに努力できる人たちがいる。 司法試験や公務員試験に向けて、法学部の授業と予備校を掛け持ちして勉強する人や、希望の学科に進学するために良い成績を取ろうとする人たちもいる。家から大学まで1時間以上もかかるのに、毎日満員電…

2017-07-15

午前のバイトに間に合うようにかなり無理をして起きたのだけれど、携帯を見ると当日キャンセルの連絡が入っていた。二度寝しようにも暑くて眠れず、何かしようにも身体が怠かったので、ベッドに寝転がったままなんとなくスマホをいじってダラダラ過ごした。…

2017-07-01

教室の引き戸を開けると、そこには先客がいた。 彼女は窓際から2列目の机の上に座り、浮かせた両足をぷらぷらさせながらぼんやりと黒板の方を眺めていた。彼女はぼくが入ってくるのに気づくと、教卓のそばの机まで歩くぼくを何の気なしに眺め、ぼくが彼女に…

「好きな人、2人いる」

「好きな人、2人いるんです」と、生徒が言った。 それだけが、本当の気持ちだと思った。

2017-06-20

気がつくと10時を過ぎていた。夢の中でどこからか目覚ましのアラームが聞こえてきたという微かな記憶があるけれど、その時のぼくは、それが現実に起きる合図だとは気づかなかったようだ。8時に最初のアラームをセットしているので、2時間ほど夢現つの境をさ…

晴海客船ターミナル (東京ソムリエ建築)

東京港開港50周年を記念して建てられた客船ターミナル。 平日は17時、土日祝日は20時まで開館しているが、訪れる人は少なく、閑散としている。照明は付いているが館内はかなり暗く、廃墟とまでは言えないものの、独特の侘しさが感じられる。 出入国審査スペ…

理由などないのではないか

すごく粗雑な考えではあるのだが、人の行動に、理由などないのではないか。 選択であったり、決定であったり、そういったことには必ずそれに先立つ理由があると、そう思われているが、実のところ、理由なんてないのではないか。 ぼくは、これまで様々な選択…

5月のこと

5月の初めに鎌倉に行った。サークルの友人達との日帰り旅行で、ぼくは車を運転した。その日はゴールデンウィークの初日で、東海方面へ向かう高速道路はとても混んでいた。渋滞に巻き込まれた車の中で、ぼくらはしりとりをして時間を潰した。 鎌倉に着いたぼ…